
ポイントは「離職のタイミング」。早期離職の対策・施策について
早期離職は 社会的な問題になっていて、多くの企業が早期離職の対策・施策を考えていると思います。
しかし、自社で現状早期離職対策を考え、企業側・管理者側が取り組んでいても、結果につながらないこともあると思います。このことから、早期離職の改善は難しいと感じている企業が多いのではないでしょうか。
早期離職の対策・改善は、離職をする人の理由を理解して、改善策を考えることが大切です。
今回は、早期離職の傾向や有効な対策、早期離職問題を解消させた企業の取り組みについて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.早期離職の傾向
- 2.早期離職に有効な対策
- 2.1.社内でコミュニケーションを取る
- 2.2.「変化」をつける
- 2.3.給料に反映させる
- 3.各企業の具体的な取り組み
- 3.1.早期離職対策①A社(保育事業)
- 3.2.早期離職対策②B社(派遣会社)
- 3.3.早期離職対策③C社(事務受託事業)
- 3.4.早期離職対策③D社(飲食業)
- 4.まとめ
早期離職の傾向
早期離職は、入社をしてから3年以内に離職をした人のことをいいます。
1年間のうち、入社3年目以内に退職した人を算出すると、早期離職率をあらわすことができます。
厚生労働省の資料「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」では、早期離職は、中学卒、高校卒、短大等卒、大学卒の新社会人で分類され、それぞれの割合が算出されています。
平成5年 |
平成15年 |
平成25年 |
|
中学卒 |
66.7% |
70.3% |
63.7% |
高校卒 |
40.3% |
49.3% |
40.9% |
短大等卒 |
33.7% |
39.0% |
41.7% |
大学卒 |
24.3% |
35.8% |
31.9% |
詳細なデータについては、資料を参照すると確認できますが、10年ごとの早期離職をみてみると、今も昔も新社会人の推移が高く、大きく変わっていないことが分かります。
早期離職の原因は人によって異なりますが、多くの場合、企業側と従業員側の仕事に求める内容のギャップから早期離職につながっていることが考えられます。
早期離職に有効な対策
早期離職対策といっても、それぞれの従業員には個性があり、考え方も異なります。
そのため、早期離職を防ぐ解決方法はひとつではありません。
厚生労働省の資料では、仕事上の悩みについての統計を参考することができます。
仕事上での主な悩みは、
- 職場や人間関係の不一致
- 仕事内容が合わない(面白くない)
- 賃金が低い
(参照:厚生労働省 世代別にみた意識と就業行動)
などの理由が特に多いことが分かります。
仕事上の悩みは、早期離職につながることもあるため、この資料をもとに早期離職対策に有効的な手段をいくつか紹介していきます。
社内でコミュニケーションを取る
仕事においてコミュニケーションはとても重要なものです。
これは「従業員規模の大きな企業」「小さな企業」のどちらにも共通します。
職場や人間関係の悩みが早期離職につながっている人は、
- 人間関係や職場の雰囲気が悪い
- コミュニケーションが苦手で上司や同僚にも相談できない
といったことを悩んでいるケースがあります。
そのため、新入社員とは「コミュニケーションをしっかりと取ること」を特に意識しましょう。
コミュニケーションを常に取っていれば、心配事、不安なことがあったときに相談しやすい環境を作ることができるので早期離職対策につながるでしょう。
「変化」をつける
実際に働き始めてから、仕事が自分に合わないと感じて離職を考える人も多いです。
なぜなら、「本当にやりたい仕事と違う」ことや「同じ作業の繰り返しになっている」などの原因があるからです。
この原因の対策として会社ができることといえば、少し違った内容の仕事を与えるといった「変化」を、従業員に提示することです。
仕事というのは、ほとんどの場合、楽しいことばかりではなく、不安や悩みを抱えることが多くあります。
従業員が楽しいと思えるような仕事場環境を整えることが大切で、働きやすい変化をつけることで、早期離職の対策につながるでしょう。
給料に反映させる
給料への不満も、早期離職につながる大きな理由になるようです。就職をする際には給料のことよりも、通勤や仕事内容に関心が高いようですが、いざ働き始めると、給料の安さに不満を持つ人が多い傾向にあります。
これは、実際に働いて仕事の大変さを感じ、「ここまでしているのにこの程度の給料なのか」と感じるためでしょう。
また、仕事内容にも不満が出て、自分の将来に希望が持てず、キャリアアップも望めないと悩むことになるようです。
そのため、企業は社員に能力アップの機会を持たせ、会社の利益につなげられないか考えることが大切です。
これが可能になれば、会社にとっても利益につながり、社員のキャリアアップや給料に反映させることにつながり、早期離職の対策につながるでしょう。
各企業の具体的な取り組み
早期離職は人材不足、ひいてはサービスや品質の低下にもつながり、どの業種、企業にとっても解決すべき大きな問題といえます。
世の中の企業では一般的に、どのような対策が行われているのでしょうか?
ここからは、テガラミルのクライアント様が実際に行った早期離職防止への取り組みをいくつかご紹介します。
早期離職対策①A社(保育事業)
保育業界は業界全体で離職率が高いことが問題視されています。
厚生労働省の調査によると、保育業界での3年以内離職は50%を超え、保育士の2人に1人は3年以内に離職している計算になります。
その理由として、
- 職場の人間関係
- 仕事の責任の重さによる不安
- 賃金が希望と合わない
などが挙げられます。
A社様は複数の保育園を経営する企業で、多くの保育園と同様に、職場環境が合わず離職する保育士が増え続けている状態でした。
そんな中、A社様が着手したのが「勤務先の異動」。
希望を募り、各園での人員配置を見直すことで、早期離職者を減らすことに成功したのです。
職場に抱く不満や不安は人それぞれ違い、その中には雇用者側が気づいていない問題も多く含まれます。
離職の原因を追究することも大切ですが、明確な要因が分からない際には思い切って環境を変えてあげることもひとつの方法かもしれません。
早期離職対策②B社(派遣会社)
派遣会社にとって、派遣社員の重要性は高い存在といえるでしょう。
派遣事業では人材が不足していると、運営を行うことができないので、派遣会社は人材の確保に注力する必要があります。
他の派遣先へ人材が離れてしまうことを防がなくてはならず、早期離職問題は派遣社員でも同様に起こり得る問題です。
派遣社員が離職する理由として、多いのが条件のよい派遣先や企業への転職があります。
好条件は人それぞれ違いますが、
- 時給
- 仕事内容
- 勤務地
- 派遣社員へのアフターフォロー
などが求められます。
B社様は派遣会社を経営する企業で、派遣社員側の条件と、派遣先への条件の折り合いがつかず、安定した人材の確保が難しい状況にありました。
そんな中、B社様が着手したのが「派遣先への条件交渉」。
派遣社員が好条件とする内容で、派遣先へ交渉を行い、案件受注することで、派遣社員が働きやすい環境になり、早期離職を減らすことに成功したのです。
派遣社員がどのような条件を求めているのかを把握するためには、スタッフとのコミュニケーションを取ることが大切です。
コミュニケーションを図れていると、派遣社員側の「本音」を聞く環境を作ることができ、早期離職の対策に役立てることができるでしょう。
早期離職対策③C社(事務受託事業)
業務受託とは、仕事をどのように遂行するか、仕事内容ごとに契約を結ぶ働き方です。
企業に雇用されるだけでなく、企業と対等の立場で業務を請負います。
近年、人件費削減のため、外注、業務委託などを利用する企業が増えていて、それに伴い従業員の働き方が多様化されています。
その中で現在、業務委託を仲介している会社も増加しています。
業務委託会社も、上記でお伝えした派遣会社と同様に人材の確保が重要となりますが、早期離職の問題を抱えている企業が多くいます。
この問題として、業務委託の契約方法が挙げられます。
企業によっては、口頭で契約するケースも少なからずあり、納品後の値下げ交渉やトラブルなどに発展してしまうことも。
C社様は事務受託業を経営する企業で、業務委託者との契約後のトラブルに悩み、人材の確保に課題がありました。
そんな中、C社様が着手したのが「定例面談の実施」。
業界における契約方法の問題点の解消に努め、定期的に面談を行い、契約内容の確認や見直しなどブラッシュアップに取り組みました。
これにより、企業と業務受託者との共有がしやすくなり、トラブル解消に成功しました。
企業と業務受託者との意思相通を図ることで、早期離職の対策に役立てることができるでしょう。
早期離職対策③D社(飲食業)
飲食業界も、他の業界と同様に早期離職や人材不足に問題を抱える企業がたくさんいます。
飲食店の人材不足についてのアンケート調査によると、約80%の飲食店事業を展開している経営者が従業員不足を感じているようです。
D社様は飲食業を経営する企業で、他の企業と同様に人材不足に悩まれていました。特に早期離職者が多く、人材が定着しないことで安定した営業活動ができない悩みがありました。
そんな中、D社様が着手したのが「管理者を対象としたフォロー手法研修」。
管理者の人材育成指導や研修を実施することで、従業員の教育の質を向上し人材定着に成功しました。
管理者の人材育成指導や研修を行うことで、従業員指導方法の改善に効果がみられ、早期離職対策につながりました。
まとめ
早期離職はどの業界でも問題視されています。
ただ、企業ごとに早期離職の対策方法は異なるため、それぞれに合った早期離職防止・対策に取り組むようにしましょう。
また、テガラミルでは、早期離職防止、従業員の定着などのサポートを行っています。
従業員の離職問題でお悩みの企業様はぜひ、お問い合わせください。