
アルバイトが辞めてしまう…。定着率の平均や向上のポイント
コンビニやスーパー、飲食店など、業界によっては店舗で働く従業員の多くがアルバイトであることも多いでしょう。
従業員の定着や離職防止を考える上で、アルバイトが多い業界ではとくに「店長や教育担当者がどうマネジメントするか」、という手腕が問われます。
アルバイトの定着率は職場の人間関係や環境と直結していることも多く、給与や拘束時間などの表面的な部分だけでなく、モチベーションの管理なども含めて考えていくことがとても大切です。
ただ甘やかす、というわけではなく、アルバイトにも意識を高く持ってもらえるような教育・マネジメントが必要になるでしょう。
そこで今回は、アルバイトの定着率を上げるために気をつけたい点や向上のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.アルバイトは「働きはじめ」が重要
- 2.アルバイトの離職率平均について
- 3.アルバイトが職場に求めることとは?
- 3.1.シフトの融通がきく
- 3.2.職場の人間関係や雰囲気
- 3.3.やりがいがある
- 3.4.ランク外:給料の支払いが早い
- 4.アルバイトのほめ方・叱り方
- 4.1.アルバイトの正しいほめ方について
- 4.2.アルバイトの正しい叱り方について
- 5.失敗しないアルバイトの教育法とは
- 5.1.自身が責任者であることなどを伝える
- 5.2.仕事内容は教育機関に教える
- 5.3.抜き打ちでテストをする
- 6.アルバイトの定着率アップのためのポイント
- 6.1.ファーストコンタクトの印象を大切にする
- 6.2.仕事内容は正確に伝える
- 6.3.新人を歓迎する気持ちを持つ
- 6.4.仕事内容は店長直々に伝える
- 6.5.仕事の手順は書類で覚えさせる
- 7.まとめ
アルバイトは「働きはじめ」が重要
アルバイトは正社員に比べて離職や転職のスパンが短い傾向もあり、入社後1.2カ月以内の「働きはじめ」をしっかりとフォローすることで、定着率が飛躍的にアップします。
ただ、付きっきりで店長が教育する時間はなかなかないでしょうし、アルバイトも常に監視されているような状況だと息苦しくなってしまいます。
もちろん仕事を覚えていないうちは放置しておくわけにもいきませんので、効率よく仕事を覚えてもらいながら、モチベーションをコントロールしていく必要があります。
また、アルバイトの人数が多く正社員が直接マネジメントできない場合などは、「バイトリーダー」として信頼できる人材を用意して教育にあたらせることもあるでしょう。
そのような店舗では、店長だけでなくバイトリーダーを含めた教育担当者のあいだでアルバイト教育に関する認識を統一しておくことも大切です。
では、新人アルバイトを教育する上で意識しておきたいこととはどんなものなのでしょうか?
アルバイトの離職率平均について
(引用:平成28年雇用動向調査|厚生労働省)
アルバイトは正社員に比べ離職、入社の回転が早く、小規模の企業では管理が追いついていないこともあるでしょう。企業によって離職率の算出期間も異なるため明確な平均を求めるのは難しいかもしれません。
厚生労働省の調査によると、アルバイトがとくに多い飲食業界全体の離職率は、平均の倍となる32%となっています。
アルバイトのみの離職率となると、50%を超えるとも言われています。
給与や通勤の利便性だけでなく、人間関係や職場の雰囲気、自身の状況の変化によって離職してしまう可能性も高く、正社員よりもコントロールが難しい傾向にあります。
アルバイトが職場に求めることとは?
パーソルグループが運営する大手求人サイト「an」では、フリーターや学生、主婦などを対象に、アルバイトとして働く上での「続ける理由」と「辞める理由」を調査しています。
「自宅から近い」「給与が高い」などの企業側からすると変更しづらいものも挙げられていますが、なかには新人の入社後にも対応できそうな内容も含まれています。
ここからは、アルバイトが職場に求めていることをいくつかご紹介していきます。
シフトの融通がきく
ランキングの2位に入っているのが、勤務シフトの融通です。
アルバイトにとって、給料の次に注目度が高い項目で、自分が希望する日時に働けるのかで定着率がガラリと変わります。
勤務シフトの作成は基本的に正社員の仕事なので、面倒がらずにちゃんと話を聞いた後に調整することが重要です。
職場の人間関係や雰囲気
ランキング10位になっているのが「店長や社員の雰囲気」。
意外と低いと思った方も多いのではないでしょうか?
ただ、これは最優先する項目として挙げられることが少ないだけで、アルバイトの定着率にはダイレクトに関係します。
正社員は長く勤める上にアルバイトにとっての上司なので、普段から接し方に気をつけなくてはいけません。
アルバイト同士の人間関係にも気を配り、新人に優しく接するのも長続きさせるための秘訣です。
やりがいがある
アルバイトだからやりがいは重視していない。
そう考えるのは早計です。もちろんアルバイトのなかには「この仕事がしたい!」という強い意志を持って面接に来る人ばかりではありません。
ただ、やりがいというのは入社後にも作り出せるものなのです。店長を含めた正社員の働き方や普段の対応を見て、「こんな風になりたい」「かっこいい」と思わせることができれば、それがやりがいにつながっていく可能性もあるのです。
(参照:アルバイト・パートを続ける理由・辞める理由|an report)
ランク外:給料の支払いが早い
これはランク外となりますが、改善したら定着率が向上した、という話を良く耳にする内容です。
駆け込みで面接を受けにくるアルバイトのなかには、できるだけ早くお金が欲しい、ということも珍しくありません。
月末締めで翌月払いという一般的なサイクルでは間に合わないことから、日払い、月2回払いなどの仕事に移っていきます。
企業によって着手が難しい内容でもありますが、定着率だけでなく採用をする上でも人材を集めやすいポイントになります。
アルバイトのほめ方・叱り方
定着率を上げたいからといって、ただほめるばかりでは本人のスキルは向上していきません。
優秀な人材に育てるのであれば正しくほめ、正しく叱ることが大切です。
そのなかで、店舗のトップである店長がどういうロジックで動いているのかを客観的に示すことができれば、アルバイト側でも、働く上での心構えができ、教えられたことにも納得できるようになるでしょう。
ここからは、アルバイトへのほめ方・叱り方に関する基本的なスタンスについて解説していきます。
アルバイトの正しいほめ方について
入ってきたばかりの新人には、とにかくちょっとしたことでもほめると効果的です。
制服が似合っているなどの些細なことでも充分なので、アルバイトを肯定することで自信を持たせましょう。
ほめる場合でも、相手が言われてうれしいポイントを押さえるのが重要です。
例えば、誰でもすぐにできる仕事であっても新人が初めて完遂したらほめるといった相手に合わせた対応を要求されます。
ほめることは信頼関係の構築にもつながるので、新人の定着率を向上させるためには必要な部分です。
アルバイトの正しい叱り方について
失敗をしたときに叱るのは、仕事のクオリティを高めるのに役立ちます。
しかし、むやみやたらに叱っても、アルバイトには理解できず、辞めてしまう原因になってしまいます。
叱る基準を客観的なルールとして設けて、事前に説明しておくことでアルバイトが納得できる環境にしましょう。
相手の性格に合わせた言い方にするのも大切で、どうすれば良いのかを一緒に教えてあげるのが基本です。
失敗しないアルバイトの教育法とは
ここからは具体的に、教える側が持つべき心構えや教育についていくつか解説していきます。
自身が責任者であることなどを伝える
責任者である店長や担当の正社員が、お店の運営についての意気込みや理念、従業員として目指してほしい姿などを最初に語ることが教育の下準備です。
忙しいために、すぐに現場に入れて、後は先輩から教えるという丸投げではいけません。
場合によっては勤務初日だけで辞めるという事態にもつながってしまいます。
最初だからこそ、静かで落ち着いた事務所のなかなどで対面し、しっかり話すことが有効です。
学生は仕事に対する意識をあまり持っていないので、自分がどういう立場の人間でアルバイトにどうしてほしいのかまで丁寧に説明しましょう。
仕事内容は教育機関に教える
フランチャイズによるチェーン店は、本部から渡された業務マニュアルがあります。
ただ、現場で分厚いマニュアルをいちいち開いて調べている暇はなく、周囲にいる店長や先輩のアルバイトにヘルプを求めるのが一般的です。
オリジナルのチェックシートを作成して、店長と学ぶアルバイトの両方がチェックをしていくスタイルで教えれば、時間はかかるが1人で確実に業務をこなせる人材に成長します。
「これは後で教えるから」と後回しにするのも1つの手ですが、複雑な業務になっている現代のアルバイトでは教育期間ですべてを教えたほうが効率的です。
最小限のスタッフで店舗を運営しているので、新人が1から学んで独自のノートを作るぐらいの手間をかけたほうがコスト削減になります。
せっかく教えたのにすぐ辞めてしまうよりは、1日3時間を1カ月かけたことで学校を卒業するまでの約3年間を勤め上げてくれるほうが有利です。
抜き打ちでテストをする
アルバイトは、すべての仕事を教え終えた後でも、仕事内容を忘れてしまうことがあります。
理由としては以下の2つが挙げられます。
- しばらく勤務していなかったため
- 稀な仕事内容であるため
ゆえに、アルバイトにはすべての仕事内容を忘れさせないために、実務以外でも抜き打ちでテストをしたほうがいいでしょう。
もちろん、シフト時間内でやらないと、モチベーションが下がり、離職につながる可能性があります。
アルバイトの定着率アップのためのポイント
クオリティが高い接客や一般業務ができるアルバイトに長く働いてもらえれば、店舗の中枢である正社員はお店の改善といったコア業務に専念することが可能です。
そのため、どこの店長もアルバイト定着率の向上を望んでいるでしょう。
アルバイト定着率を向上させるならば、従来の手順を1つずつ改善していくことで達成できます。
では、ここからはアルバイト定着率アップのポイントをいくつか解説していきます。
ファーストコンタクトの印象を大切にする
1つ目のアルバイト定着率アップのポイントは、マッチングの向上です。
面接はアルバイトとのファーストコンタクトであり、お互いに対等な立場で理解を深めることを自覚しておきましょう。
応募してくれたことへの感謝と自己紹介、相手を尊重した話し方によって、丁寧な人だと好印象を与えられます。
仕事内容は正確に伝える
2つ目のポイントは、面接の時点で仕事内容を正しく伝えることです。
過度に伝えるのは論外で、相手の求めていることに則した店舗のアピールをするのが、信頼関係を作っていく最初の段階になります。
まだ採否が出ていないのでお互いに落ち着いて考えるだけの余裕があり、この段階でミスマッチをさせないことで定着率アップにつながります。
新人を歓迎する気持ちを持つ
採用が決まったアルバイトにとって、自分の仕事場は初めての環境です。
誰でも初めての環境は緊張するものなので、新人を全員で歓迎して居場所を作ってあげるのが3つ目のポイントです。
とくに学生においては、仕事を通して自分が認められることが刺激的な体験で、ここで良好な人間関係の手助けをすることで長く働いてくれるでしょう。
仕事内容は店長直々に伝える
4つ目のポイントとして、新人の教育はできるだけ店長などの責任者が時間を割いて受け持ちましょう。
他のアルバイトに任せていると、手抜きなどの悪いことをいきなり教えられるケースや、大事な手順を飛ばしてしまうケースもあるので要注意です。
また、店舗の責任者が自ら教えることで、アルバイトとの信頼関係を一層強化できます。
仕事の手順は書類で覚えさせる
5つ目のポイントは、仕事の手順を具体的なチェック項目として書面で認識させることです。
書類上でチェックを入れていくと確実にすべての項目を教えることが可能で、アルバイト側でも復習して自分なりのマニュアルを整えられます。
まとめ
アルバイトも一般労働者と同じく、現場での仲間であり、立派な社会人であると言えます。
そして、店舗に利益をもたらしてくれる重要な人材でもあります。
ただし、育成法や教育法がしっかりしていないと、定着率を下げてしまい、優秀な人材が育つ可能性もなくなってしまいます。
優秀な人材が集まりやすく、定着率の高い現場を目指すのであれば、アルバイトの教育や制度を見直していくことからはじめましょう。