
企業の離職を防止するために。離職理由や各社の取り組みについて
日々の業務や利益確保など企業を運営していくには頭を抱える問題が多く、そのひとつに「離職」があります。
特に昨今は少子化の影響を受けて働き手を集めにくいといった現状があり、人材確保は非常に重要な問題です。
そこで今回は離職防止についてご紹介します。
離職の現状、対策を知ることで活かせることはありますので、ぜひご参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.離職の現状
- 1.1.離職率の高い業種、低い業種の共通点
- 1.2.離職率は企業規模には関係しない
- 2.離職防止のための「リテンション施策」とは
- 3.離職防止に必要な対策
- 4.モチベーションを把握し定着率の改善を
- 4.1.定着率改善に役立つ「HRテック」
- 4.2.HRテックはどのようなサービスがあるの?
- 5.各企業で進む離職防止への取り組み
- 6.まとめ
離職の現状
まずは離職の現状について確認していきましょう。
厚生労働省の統計で離職の現状を確認することができます。
離職率が高い業界は下記のとおりです。
- 宿泊業界・飲食サービス業
- 生活関連・娯楽業
- サービス業(ほかに分類されないもの)
対して下記は、離職率が低い業界です。
- 建築業
- 複合サービス事業
- 金融業・保険業
なぜこのように離職率が高い業種と低い業種に差があるのでしょうか。
離職率の高い業種、低い業種の共通点
離職率の高い業種と企業と低い業種にはそれぞれ共通点があります。
離職率の高い業界は共通して、時間拘束が多い、賃金体系が確立されていない、もしくは賃金が低いことが挙げられます。
対して、離職率の低い業界は専門的な知識や技術を要する業界であることがわかります。
離職率は企業規模には関係しない
企業全体として見た場合には、離職率が低く良い会社のように見えるかもしれませんが、部署ごとに見ると突出して離職率の高い部署がある場合もあります。
相対的なイメージに隠れてしまいますので、「うちの会社は大丈夫」とは思わずに「うちの部署は大丈夫だろうか?」と思うようにすることが、離職防止の第一歩となるでしょう。
離職者が出たらまた募集すれば良い、ということを繰り返しては人材の育成に問題が発生し、さらには会社の成長を阻害するものとなりますので、決して楽観視はできない問題です。
離職防止のための「リテンション施策」とは
現在、離職を問題視している企業で、離職防止のためにリテンション施策というものを取り入れています。
リテンション施策とは、離職や転職などによる人材流出の防止策を指します。
具体的には、優秀な人材を見極め、その人材が企業に対し親近感や愛着を持つようにし、良好な関係を維持して長く働いてもらうことを目的としています。
優秀な人材を手放してしまうことは、企業にもダメージとなり損害となります。
人材の成長なしに事業の成長は難しく、企業の将来が大きく左右されます。
そのため、現在企業の課題として「離職防止」「定着改善」が挙げられています。
離職防止といっても、あまりに漠然過ぎて何をどうしたら良いかわからないという企業も多くあるでしょう。
そこで注目すべきは「定着改善」です。
リテンション施策でも挙げられているように、定着改善のためには企業に対して親近感や愛着を持ってもらうことが必要です。
親近感や愛着に関わることで最も重要なのが人間関係です。
どれほど待遇が良くても、良い仕事を提供していても、人間関係が悪ければ長く勤めることが困難になる可能性があります。
最も重要にして最も根本的な部分である人間関係が会社の成長を左右する問題になりかねないということを意識しましょう。
離職防止に必要な対策
離職防止につながる対策をもう少し掘り下げて解説します。
前途で、定着改善のためには「人間関係」が大切だということを挙げました。
これはコミュニケーションの形成がしっかりと行えているか、困ったことがあったら相談できる環境であるかという部分がポイントになります。
大なり小なり困ったことを抱えていても、周囲に相談することができなければ一人で問題を抱えることになってしまうためです。
できる対策はそれ以外にも「物理的環境の管理・改善」「モチベーション管理」などが挙げられます。
物理的環境の管理・改善は、業務を行う環境を整えたり、改善したりすることで従業員の働きやすい環境を目指す対策です。また、精神的な面のケアもとても大切です。これを怠ると作業に見合った評価がされていないと感じて、モチベーションを低下させ、離職へとつながってしまいます。
このように、離職防止には「人間関係」「物理的環境の管理・改善」「モチベーション管理」による対策が重要と言えるでしょう。
モチベーションを把握し定着率の改善を
情報を細かく把握し、分析するとさらに離職防止の効果を望めます。
しかし、通常の業務をこなしてなおかつ分析をするとなると、体がいくつあっても足りません。そこで情報を分析するツールをご紹介します。
定着率改善に役立つ「HRテック」
昨今企業の人事部で注目されている手法に「HRテック」というものがあります。
テクノロジーの活用によって人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域における業務の改善を行う手法のことをいい、人事業務の効率化に用いられています。
新人採用から新人教育を通してデータを集め、離職が起こった場合、クラウドやAIなどを使って対処します。またどういった経緯で離職が起こりやすいといった傾向を知ることもできるため、離職防止に一役買っているシステムです。
コミュニケーションの管理とHRテックによるデータ化を同時に用いることで、離職防止に相乗効果が出てくることとなります。
こうして形成されたコミュニケーションの状況を分析することにより、離職防止という本来の目的に近づくことができます。
HRテックはどのようなサービスがあるの?
昨今では、スマートフォンで手軽にHRテックを使うことのできるツールがいくつかあります。
定着改善支援アプリ「テガラみる」では新入社員のコンディションをスマートフォンでリアルタイムに把握し、可視化します。
新入社員のコンディションが悪化した際は、管理者に自動でお知らせが送られるので通常業務を妨げずに最適なフォロータイミングを計れます。
その他、さまざまな機能を搭載していますので、コミュニケーションの形成と同時に「テガラみる」を使ってみてはいかがでしょうか。
関連記事:大切な人材の離職防止を図るなら。活用したいツールについて
各企業で進む離職防止への取り組み
各企業で離職防止への取り組みは行われていますが、当然のことながら業種によってその対策は変わってきます。
先ほど挙げた離職率の高い業種を例に解説していきます。
宿泊業界
宿泊業界の離職の原因となるのは、賃金の安さと肉体労働の多さといったものになります。
賃金の安さはなかなか解消することが難しい問題ですが、仕事に対してモチベーションを与えることにより解決の糸口が見えてきます。
肉体労働のきつさに関しては、シフト管理をしっかりと行い、人員をカバーしていくことで解決できます。
適材適所をしっかりと意識することが重要となります。
飲食サービス業界
飲食サービスの業界では常に立っている状態での仕事となります。
このため足腰を痛めてしまう人も多く、業務を続けるにあたり支障が出てしまうというケースが多く見られます。
これが離職につながり、給料が良くても働くことができないと言われています。
こちらも離職防止の対策をしっかりと行い、従業員一人にかかる負担を軽減することが解決策となります。
人員が常に足りない業界ではありますが、一人に対して過密な業務内容を処理させては離職へとつながりますので、注意するようにしましょう。
関連記事:業種別離職防止事例:飲食店アルバイト
娯楽業界
娯楽業界の最もネックとなる部分は人材不足です。
これにより一人あたりの仕事量が増え、拘束時間が増えてしまいます。
そうなると仕事に対して割に合わないと考えるようになり、離職率へとつながります。
綿密なシフト管理が必要となってくるほかに、適度な人材募集が必要となってきます。
働き手の獲得が難しい業界だけに、解決は難しい問題とされています。
このように業種ごとに離職に対する防止策は変わってきますが、大事なことは「無理をさせない」「モチベーションを保つ」といったことが共通点です。
少子高齢化の影響で働き手が不足しがちな昨今ではありますが、長く働いてもらうことにより個人のスキルアップも望め、企業の成長にもつながりますので、離職防止は意識すべき問題でしょう。
関連記事:【業種別】離職防止の具体的な事例
関連記事:業種別離職防止事例:人材業
まとめ
今いる人材を失い、新しい人材を雇うには多くのコストがかかり、それが慢性化すると業績に影響が出てくることは避けられません。
それを避けるための離職防止策は従業員の満足度を考えることにつながり、さらなる業績の向上も期待できます。この機会に現在の職場の離職防止策を見直してみてはいかがでしょうか?