定着率、離職率とは?概要や計算方法、向上のポイントを解説

今、多くの業界で人材不足がさけばれています。
中小企業の70%以上が人材不足を感じているという調査結果もあり、優秀な人材の確保に力を入れている企業は数多くあります。
(参照:中小機構|人手不足に関するアンケート調査)

そんななか、「採用」と並んで注目を浴びているのが「離職率」や「定着率」という概念。

雇用を増やすだけでなく、優秀な人材を定着させ、離職を防止することによって人材流出を防ぐことが現代の企業には重要です。
ただ、離職率・定着率という言葉は知っていても、その定義や自社の現状についてしっかりと把握している人はそう多くないかもしれません。

そこで今回はこの2つの考え方について、概要や現状、改善するためのポイントについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.定着率・離職率とは?
  2. 2.定着率・離職率の計算方法
    1. 2.1.離職率の計算方法
    2. 2.2.離職率で話題になる「753現象」とは?
    3. 2.3.定着率の計算方法
  3. 3.現代の定着率・離職率の現状
    1. 3.1.パートタイム労働者の定着率・離職率
    2. 3.2.一般労働者の定着率・離職率
  4. 4.「定着率」が低いことでのリスクとは?
  5. 5.離職の原因を知り定着率アップを目指そう
    1. 5.1.新人にはオリエンテーションなどのサポートを行う
    2. 5.2.休日出勤は割増賃金を支払う
    3. 5.3.アルバイトには福利厚生を充実させる
  6. 6.まとめ


定着率・離職率とは?

離職率とは簡単に言うと、「雇用された人材のうち、どれくらいの人が離職したか」を表す数字です。
一方、定着率は、「一定期間内に、雇用された人材がどれだけ残っているか」ということを表すもの。

言葉の通り、社内の人材についての離職と定着の値を表しているのです。

人事担当者や経営者のなかには、「採用人数を増やすことが何よりも人材不足を解消する方法」と考えている人も多いかもしれません。しかし会社にとって、人を増やすことは人件費が今より上がってしまうリスクも伴うものです。

それに対して、「定着率」「離職率」を改善していくことは今いる人に対して長く働いてもらうことを意識した取り組みになります。人が長く働いてくれることで、個人のスキルが上がっていくことはもちろんですが、指導側の手間が減り、チームワークも向上することで業務の効率化を図ることができます。

そのため多くの企業では、新規採用とともに、この定着率・離職率を意識する企業が増えているのです。

まずはこの「離職率」「定着率」という概念について、理解していきましょう。


定着率・離職率の計算方法

それでは定着率・離職率の計算方法を、分かりやすい例と一緒に覚えていきましょう。


離職率の計算方法

厚生労働省が定めている用語の定義によると、離職率の計算方法 
(引用:調査の結果|厚生労働省)

上記が離職率の求め方とされています。

例えば1月のタイミングで1000名が在籍している企業において、その年に100人の退職者が出たとすると、その離職率は10%、というような形です。
ただ、現在多くの企業においてこの「常用労働者数」や「離職者数」を算出する期間は自由に設定されています。

「1月1日現在の常用労働者数」=「一定期間開始時の労働者数」

「離職者数」=「一定期間内の離職者数」

という形です。
この「一定期間」というのは3カ月であることもありますし、1年や3年などのこともあるでしょう。


離職率で話題になる「753現象」とは?

企業の離職が深刻化している現在、「753(シチゴサン)現象」という言葉も使われますが、これも離職率についての言い方になります。
753現象とは「3年以内の離職割合」を表したもので、中卒者が7割、高卒者が5割、大卒者が3割、離職していく、という意味になります。
就学期間が短い労働者ほど早く離職してしまうということを端的に表した言葉とも言えるでしょう。

また、企業の待遇や職場環境、業務内容などネガティブな要因が重なるとその数値は高まる傾向にあります。


定着率の計算方法

基本的に定着率の算出は、離職率を求める式の「離職者数」を「在籍した労働者数」に置き換えることで求められます。
前述した離職率を求める式に置き換えると、
定着率の計算方法
上記のような形になります。

離職率に比べてまだ用語としての認知が広まっていない印象もある定着率ですが、定着してくれる人材を増やす、という意味ではこの数値を向上させることが企業を安定、成長させるカギにもなるのです。

ただ、離職率、定着率のどちらも「一定期間」というものが明確に統一されておらず、設定する期間によっては良い数値を出すことも可能です。
これまで離職や定着にあまり注目していなかった企業にとっては、「どの期間に注目して数値を出すか」ということが非常に重要なのです。

飲食店など、アルバイトの雇用が多い店舗についてはとくに1カ月以内などの短期の定着率に目を向ける必要もあるため、ただ定着率を算出するだけでなく「どのタイミングで従業員が離職しているか」ということを明確にすることも求められます。


関連記事:定着率の計算方法やエクセルの作成方法。まずは自社の状況把握が大切


現代の定着率・離職率の現状

ただ会社の定着率・離職率の計算を行ったとしても、それが良い状態なのか、悪い状態なのかは分からないかもしれません。
その時に役立つのが、現代の定着率・離職率の現状について厚生労働省の資料です。アルバイトに関してはパートタイム労働者として計上されており、正確な離職率が分かるようになっています。しかしこの資料を参照する時に注意しなければいけないのが、派遣社員が一般労働者として正社員と同じ分類に計上されていることです。

それでは資料の重要なポイントを見ていきたいと思います。

29年度離職率傾向
​​​​​​​(引用:厚生労働省|入職と離職の推移)


パートタイム労働者の定着率・離職率

資料によると、アルバイトなどのパートタイム労働者の定着率は75%程度になります。また、ここ数年の傾向としてアルバイトなどのパートタイム労働者の離職率は25%を越え、とても高い数値を示しています。この傾向は10年以上前から続いていますが、離職率のピークの平成17年頃に比べると減少傾向ではあります。

企業側もパートタイムとして働く人に対して、さまざまな定着率・離職率を改善する仕組みや福利厚生制度などを用意しはじめています。そのため減少傾向が見えてきていると考えられますが、まだまだ高い状態です。


一般労働者の定着率・離職率

派遣社員に関しては一般労働者(正社員)に比べて離職率が非常に高いようです。

このことを加味すると正社員の離職率は10%を下回り、定着率は90%を超え、派遣社員はパートタイム労働者に近い傾向を示す可能性があります。正確な数値が分からないのは勤務形態が複雑で正確な数値が出せないことが多くなるからです。


関連記事:アルバイトが辞めてしまう…。定着率の平均や向上のポイント
関連記事:派遣社員に聞いた!派遣の定着率が低い理由と向上のためのポイント


「定着率」が低いことでのリスクとは?

定着率が低いことで、離職してしまうことに対する企業側のリスクや損失はどのようなことが挙げられるのでしょうか。

企業側のリスクは、代表的なものだけでも

  • 教育コストの回収ができなくなる。
  • 将来の管理職の不在。
  • 事業規模を拡大できない。
  • サービスレベルや生産性の低下。
  • 社員の士気低下。
  • 残った従業員の負担が増す。

など多くの問題が挙げられます。

教育コストは、実際にセミナーや社員研修を行ったりするコストのほか、新入社員の教育のために在職している社員の労働時間を割くコスト、新入社員による失敗の補てんなど、さまざまなコストが考えられます。そのため、単純には計算できませんが、新入社員が定着しないことによる発生するコストは大きなものです。

また、将来の管理職については後継者不足の問題など承継問題として重要な課題として最近注目されています。管理職が育たないということは、企業の継続性を考えた場合、大きな損失になってきます。

事業規模を拡大できないというのは、飲食店の多店舗展開や製造業の事業所拡大などを考えると分かりやすいかもしれません。いくら店舗や事業所を作っても従業員がいなければ、運営は不可能になり、さらに従業員がすぐ辞めてしまってはサービス品質が低下することが考えられます。

会社の雰囲気にとっても人が辞めるというのは、ネガティブな影響を与えます。離職をする姿を見ると、残った従業員も辞めてもしょうがない職場なのだという考え方や、他があるといった気持ちを持ってしまい、士気が下がってしまう可能性があります。

こういったリスクを避けるためにも定着率の向上は重要なのです。


離職の原因を知り定着率アップを目指そう

定着率を上げることで、事業の持続性や事業の拡大など企業の成長にはかかせない人材を企業に残すことができるようになってきます。ただ離職の原因とは、必ずしも企業側だけが悪いとは限りません。そしてそれが制度などの仕組みで解決できることだったり、気持ちなどの精神的な面で解決できることだったりと解決策は、多種多様です。

代表的な定着率アップの施策として

  • 新人教育に充分時間を割く。
  • 仕事の成果を正当に評価する。
  • アルバイトに対しても社会保障の充実を図る。
  • 労働環境の理想像を皆で作り上げる。

といったものが紹介されています。

このなかでも人件費が上がることや、時間を作るということは、経営者から見れば高いハードルかもしれません。しかし全員が同じビジョンを持つことで定着率を上げる方法もあります。

ここからは、具体的な離職の原因から、定着率アップの方法についていくつか解説していきます。

新人にはオリエンテーションなどのサポートを行う

いきなり現場に新人を立たせるのは、戸惑いを生み、離職の可能性を高めてしまう可能性があります。まずは、事務所の近くのカフェなどでオリエンテーションなどの打ち合わせを行い、仕事内容を説明します。また、勤務時間内に教育する時間を持つことができれば理想です。

ついサービス残業的に業務終了後に無給で教育を行いがちですが、それを行うことで新人のモチベーションは下がり、離職の原因を作ってしまいます。

休日出勤は割増賃金を支払う

休日出勤をしてもらったにも関わらず、支払う賃金が安いと、モチベーションが下がります。

そのため、休日出勤などが必要な場合は、休日手当などを支払うことでモチベーションを維持する方法があります。

新人の場合は、給与が上がりづらい時もあるため、休日手当がつくことをポジティブにとらえる人もいるかもしれません。指導する時間や生産性が悪いから休日出勤になっていると考え、甘やかしているとダメにするといった考えもあるかもしれません。しかし定着率が上がることを考えれば、将来的に良い投資になる可能性があります。

アルバイトには福利厚生を充実させる

一般労働者は、ある程度の福利厚生が用意されていますが、アルバイトには用意されていない場合があります。最近では働き方の自由として、アルバイトをあえて選んでいる労働者も多くいます。

もし正社員よりも優秀なアルバイトが福利厚生を受けられなければ、離職してしまう可能性があります。

福利厚生の違いとして、よく挙げられるのは保険関係です。アルバイトに対しても、社会保険や厚生年金、雇用保険、介護保険、労災保険をかける必要があります。アルバイトは、先ほどの資料を見ても、非常に離職率が高くなります。

もし長期で働いてほしいと考えるのであれば、正社員同等の待遇や環境の整備が重要になります。


関連記事:なぜ今大切なのか?定着率向上・離職率低下の施策やその重要性


まとめ

将来を考えている経営者にとって、今回の「離職率」「定着率」は重要な問題です。労働者人口が減っている日本では、優秀な人材や企業にマッチした人材に長期で働いてもらう仕組み作りは大切です。

もちろん離職や定着しない原因をひとつひとつ見ていくと、解決できない問題も出てくるかもしれません。しかし仕組みとして、少しでも改善していくことができる課題は少しずつ解決していくべきと言えます。

まずは計算を行い、現状をしっかりと把握してみましょう。そして改善方法を立案してみてはいかがでしょうか。

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